第20回茨城県視覚障害者福祉大会の概要及び大会宣言・大会決議について

    創立90周年記念 第20回茨城県視覚障害者福祉大会を開催しました。

  茨城県内の視覚障害者及び関係者が一堂に会し、視覚障害者を取り巻く諸問題を話し合い、視覚障害者の自立と社会参加を促進する目的で、令和4年11月

  13日(日)に土浦市の茨城県県南生涯学習センターにて、130名の参加者により、3年振りに開催されました。

   第一部では、永年にわたり視覚障害者の福祉の向上に尽力された功労者への感謝状授与に続き、最近の視覚障害者を取り巻く社会情勢を総括し、今後の

  視覚障害者の権利保護・社会参加等の活動方針となる大会宣言及び大会決議を採択しました。

   第二部では、視覚障害者でもある村上夫妻による、ギターとフルートの演奏会を行いました。村上夫妻は年数回、小中学校、老人施設、社会福祉協議会

  主催のイベント等にて演奏活動を行っております。その優しい響きに会場内は満たされました。

   今後、本大会で採択された大会宣言及び大会決議に基づき、国、茨城県をはじめ、茨城県市長会や茨城県町村会、JR東日本などの関係機関へ要望活動

  を行うこととしております。

     ①開催要項    ②大会宣言    ③大会決議 

第19回茨城県視覚障害者福祉大会の概要及び大会宣言・決議について

第19回茨城県視覚障害者福祉大会の開催について

 

 茨城県内の視覚障害者及び関係者が一堂に会し、視覚障害者を取り巻く諸問題を話し合い、視覚障害者の自立と社会参加を促進する目的で、「第19回茨城県視覚障害者福祉大会」が、平成30年11月18日(日)に水戸市内のホテルで、約150人の参加者により、2年振りに開催されました。

 午前の部においては、永年にわたり視覚障害者の福祉の向上に尽力された功労者の感謝状授与に続き、最近の視覚障害者を取り巻く社会情勢を総括し、今後の視覚障害者の権利保護・社会参加等の活動指針となる大会宣言案及び大会決議案を採択しました。

また午後の部では、来年度の開催までに1年を切った「第19回全国障害者スポーツ大会いきいき茨城ゆめ大会」の概要と準備状況等について、県担当課・障害者スポーツ大会課職員による講演があり、大会マスコットやら、応援ソングなどの話に会場内は大いに盛り上がりました。

 会場外のロビーでは、福祉機器展も併催され、最新の機器を手に取りながら、係員の説明に聞き入る参加者の姿が各ブースで見受けられ、一時は人であふれるほどの賑わい振りを見せていました。

 今後、茨城県視覚障害者協会では、本大会で採択された大会宣言及び大会決議に基づき、国、茨城県をはじめ、茨城県市長会や茨城県町村会、JR東日本などの関係機関へ要望活動を行うこととしております。

 

 

『第19回茨城県視覚障害者福祉大会』の開催概要

 

1.開催日時:平成30年11月18日(日)10:30~15:00

2.開催場所:三の丸ホテル(水戸市三の丸2-1-1)

3.主な開催内容

 ① 午前の部

   式典:主催者あいさつ、感謝状授与(茨城県知事・茨城県議会        議長・茨城県視覚障害者協会理事長)、来賓あいさつ、        受賞者代表謝辞
  ◯ 議事:情勢報告、大会宣言(案)及び大会決議(案)の採択

 ② 午後の部

  ◯ 講演:第19回全国障害者スポーツ大会・いきいき茨城ゆめ大        会の概要と準備状況について(茨城県国体・障害者スポ        ーツ大会局障害者スポーツ課担当)

          福祉機器展(4社出展)


4.採択された大会宣言及び大会決議 


第19回茨城県視覚障害者福祉大会宣言

 私たちが待ちに待った「差別解消法」が施行されて、2年余りがたち、来年の「第74回国民体育大会・いきいき茨城ゆめ国体」及び「第19回全国障害者スポーツ大会・いきいき茨城ゆめ大会」や、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、バリアフリー化やノーマライゼーションの機運も社会的に高まりを見せつつあり、私たち障害者を取り巻く環境は徐々に変化をとげ始めています。

 しかしながら、今般、中央省庁をはじめとする行政機関において「障害者雇用率」問題が表面化し、私たちの茨城県でも同様の事態があきらかになりました。また、県内市町村においては、平成30年4月1日現在で、差別解消法にもとづく「障害者差別解消支援地域協議会」が6市町で未設置、及び対応要領も3市町で未策定であり、私たちの権利に密接に関わる体制づくりが期待するほど進んでいないのが現状であります。

加えて、相次ぐ視覚障害者の鉄道駅ホームからの転落事故や、旧優生保護法下での障害を理由とする強制手術の問題など、障害者の権利及び移動の自由の保障などを巡る情勢は、まだまだ満足するにほど遠い状況にあるのは残念としか言いようがない事実であります。

 このようなことから、私たちは、障害者の権利において、まずは差別解消法による「障害者差別解消支援地域協議会」の設置及び対応要領の策定が県内全市町村で早期に完了することを求めます。

また、移動の自由において、道路における点字ブロック・音響信号機・エスコートゾーンなど安全施設の整備をはじめ、鉄道駅構内におけるわかりやすい表示やホームの内方線付き点状ブロックの敷設、ホーム柵の設置など乗降の際の安全対策を求めるとともに、困っている障害者に対する声かけ運動も社会的に幅広く展開していく必要性を感じています。さらに、ロービジョンケアと弱視者の見えにくさに配慮した各種の表示案内などの整備も留意すべき重要な事項として訴えていく必要があります。

 また、私たちの日常生活や外出を支援する、補装具・日常生活用具の給付及び同行援護事業において、地域間における格差が生じておりますが、このような状況は住むところによって福祉サービスの水準が異なるという許容しがたい事態を意味しており、その格差を早急に是正していかなければなりません。

さらに、障害者の自立と社会参加のためには、働くことがまず第一歩であり、国家資格を活かした視覚障害者の職域を守るとともに、正規職員としての就労機会の拡大や、中途視覚障害者の社会復帰と雇用継続の保障などについて、社会的な合意形成を図り、その動きを促進していく必要があります。

一方、情報化社会の進展に伴い、情報機器も急速に発達しており、情報活用能力を高めることによって、障害者の活動領域の拡大が期待されることから、情報弱者をつくらないための視覚障害者用の機器・ソフトの開発や、情報リテラシーを高めるための施策の展開が求められるとともに、懸案である点字図書館・視覚障害者福祉センターの施設の再整備と情報発信機能の充実がより強く期待されています。

そしてまた、本年4月の島根県西部地震をはじめ、6月の大阪府北部地震、私たちの記憶にいまだ新しい9月に起こった北海道胆振東部地震など、地震が頻発するなか、7月の西日本豪雨や相次ぐ台風の襲来などの風水害も度重なっており、要援護者を含めた避難計画の策定や、避難所における安全な生活の保障も喫緊の課題となっております。

このように幾多の困難と課題があるなか、本年度は、私たちの茨城県において、「障害者基本法」に基づく「第2期新いばらき障害者プラン」の5ヶ年計画がスタートした初年度にあたっております。本計画の基本理念は「ノーマライゼーション」と「完全参加」であり、障害の有無によって分け隔てられることなく、障害者が一般社会の中で普通の生活を送ることができ、自らの意思によりあらゆる分野に参加する機会が確保され、県民すべてが相互に人格と個性を尊重し合い共に生きる社会の実現を目指しております。 

 私たちもこの地域社会を担う当事者の一員として、視覚障害者が生活するうえでの幾多の困難と課題を各界各層の県民の理解と協力のもとに解決に導き、地域で安心・安全に暮らせる共生社会の実現に向けて行動することをここに宣言します。 

  平成30年11月18日 

第19回茨城県視覚障害者福祉大会

  


第19回茨城県視覚障害者福祉大会大会決議

 1.視覚障害者の権利を守るために

 ◯ 不当な差別的取り扱いを禁止し合理的配慮の提供を進める「差別解   消法」に基づき、すべての市町村において、速やかに対応要領を策定   し、地域協議会を設置すること。

  ◯ 選挙公報の点訳・音訳や、様々な窓口等における意思疎通を始め、   視覚障害者に対する情報保障と合理的配慮の提供等による社会参加    の支援が強く求められていることを踏まえ、視覚障害者の情報提供施   設である県立点字図書館・視覚障害者福祉センターの施設整備に着手   し、その機能のさらなる充実を図ること。  

2.視覚障害者の生活を守るために
  消費税率の引き上げを来年10月に控え、視覚障害者の生活安定を  図るため、障害基礎年金額を増額すること。
 ◯ 視覚障害者の就労機会の拡大や中途視覚障害者の社会復帰、雇用継   続を進めるため、職場環境の整備を進めるとともに、合理的配慮の提   供を促進する体制づくりに努めること。
 ◯ 無資格医業類似行為の取り締まりを強化するとともに、晴眼あはき   師養成機関の新増設を認めないこと。
 ◯ 白杖やラジオなど視覚障害者に必要な支援用機器材の備蓄や、盲導   犬ユーザーを始めとする要援護者へのきめ細かな対応など、災害時の   避難所における支援体制の充実を図ること。

3.安心・安全な移動と歩行を守るために

 ◯ 弱視者(ロービジョン)のニーズに基づき、公共施設や交通機関の   階段、トイレ等の照度や輝度、色彩を改善し、あるいは拡大文字によ   り表示を見やすくするとともに、地域の医療機関や訓練施設における   ロービジョンケアの実施を促進すること。
 ◯ 視覚障害者の安全な移動を確保する誘導ブロック、エスコートゾー   ン、音響式信号機などの設置を拡大するとともに、安全は自ら護る安   全意識向上に向けた活動や安心な外出を支援する声かけ運動など交通   安全県民運動を積極的に推進すること。
 ◯ 鉄道を安心して利用できるため、可動式ホーム柵、内方線付点状ブ   ロックの敷設など駅ホームの安全対策を推進するとともに、乗降にお   いては、駅員による押しボタン式開閉ドアの案内や、座席誘導など安   心して利用できる乗車サービスを提供すること。

4.福祉サービスの地域間格差を解消するために

 ◯ 日常生活に必要な外出を支援する同行援護事業において、サービス   利用範囲の拡大、福祉送迎要件の緩和など利用者ニーズに合ったサー   ビスの提供と地域間格差の解消に向けた取り組みを強化すること。

      補装具・日常生活用具給付事業における地域間格差解消に向けた取   り組みを強化し、利用者ニーズを適切に反映した制度の運用を図るこ   と。
   いまやパソコンが視覚障害者の情報障害を補うのに欠かせないツー   ルとなっているなか、情報機器の取扱い等の相談・指導にあたるパソ   コンボランティアの派遣状況について、県北地域では皆無であるなど   の偏りがみられることから、パソコンボランティアを養成し、派遣状   況の偏りを解消すること。

5.障害者スポーツ文化の振興のために

  来年10月に本県で開催される『第19回全国障害者スポーツ大    会』、及び2020年開催の東京パラリンピックを控え、障害者スポ   ーツに対する県民の興味・関心が高まるなか、障害者スポーツの一層   の振興を図るため、練習場の確保や指導者の育成など、障害者スポー   ツの環境整備を進めること。
  『第19回全国障害者スポーツ大会』においては、国内から多くの   障害者が参加されることから、障害者を迎え入れるための環境整備と   県民が障害者を暖かく迎え入れる機運を醸成すること。

     以上、ここに要望し、決議します。

       平成30年11月18日

                        第19回茨城県視覚障害者福祉大会