「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律19条訴訟における東京地方裁判所判決に対する声明」について

2019年12月16日

 

あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律19条訴訟における東京地方裁判所判決に対する声明

あん摩師等法19条連絡会代表者 竹下義樹

 わが国においては、長年にわたりあん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師が、視覚障害者の生業の中心となり、視覚障害者の職業的自立を支えてきました。ところが、戦後に至り晴眼者がこの分野に数多く進出してきたことから、この分野における視覚障害者の職業的占有率が低下し始めたことを受け、視覚障害者の職業的自立を維持する目的で、1964年(昭和39年)にあん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(以下、「あん摩師等法」と略します)が改正され、その19条1項に「当分の間、文部科学大臣又は厚生労働大臣は、あん摩マツサージ指圧師の総数のうちに視覚障害者以外の者が占める割合、あん摩マツサージ指圧師に係る学校又は養成施設において教育し、又は養成している生徒の総数のうちに視覚障害者以外の者が占める割合その他の事情を勘案して、視覚障害者であるあん摩マツサージ指圧師の生計の維持が著しく困難とならないようにするため必要があると認めるときは、あん摩マツサージ指圧師に係る学校又は養成施設で視覚障害者以外の者を教育し、又は養成するものについての第二条第一項の認定又はその生徒の定員の増加についての同条第三項の承認をしないことができる。」という規定が設けられ、今日に至っています。

 これに対し、平成医療学園グループは、福島県、神奈川県、大阪府及び兵庫県に設置したはり師きゅう師を養成する専門学校ないし大学にあん摩マッサージ指圧師の養成課程を新設するための施設認定請求があん摩師等法19条1項によって厚生労働大臣及び文部科学大臣によって棄却されたことから、2016年(平成28年)7月に認定処分取消訴訟を仙台地方裁判所、東京地方裁判所及び大阪地方裁判所に訴訟を提起しました。

 そこで、視覚障害者団体や鍼灸マッサージの職業団体等の関係16団体が結集して「あん摩師等法19条連絡会」を結成し、平成医療学園グループが提起した訴訟は視覚障害者の職業的自立を破壊するものであり、自らの利益のみを図ろうとするものであるとして、その主張の不当性を訴えてきました。

 平成医療学園グループは、かかる訴訟において、わが国では視覚障害者の職業領域が広がり、あん摩マッサージ指圧師の分野において視覚障害者を特に保護する必要性はなくなったとか、自らの学校経営という営業の自由が侵害されている等と主張し、あん摩師等法19条は憲法22条等に反していると主張してきました。

 しかし、平成医療学園グループの主張は、わが国において視覚障害者の職業的選択が未だ十分には保障されておらず、極めて狭い範囲でしか就労できていないという視覚障害者の就労実態に反するものであり、今なおあん摩マッサージ指圧師の分野においては視覚障害者の就業を保護する必要性は高く、あん摩師等法19条によって平成医療学園グループの営業の自由が合理的な理由によって制限されているとしても、これまでの最高裁判例等に照らしてもあん摩師等法19条の規定は憲法22条等に反するものではありません。

 あん摩師等法19条が制定された1964年(昭和39年)当時のあん摩マッサージ指圧師における視覚障害者が占める割合は60%を超えていましたが、すでに設置されているあん摩マッサージ指圧師の養成施設から輩出される晴眼者が増え続けているため、今日においてはこの分野における視覚障害者の占有率は20%を切る状況となっています。

 そうした状況の下で、あん摩師等法19条による規制が緩和されるようなことがあれば、さらに晴眼者の占有率が加速度的に拡大し、この分野における視覚障害者の職業的自立は成り立たなくなります。

 また、あん摩マッサージ指圧師が乱造される事態はこの分野における質の低下を招き、国民の健康被害をも引き起こしかねない事態となります。

 私たちは、視覚障害を有するあん摩マッサージ指圧師の職業的自立を維持し、この分野における業界の秩序ある発展を期するためにもあん摩師等法19条は維持されるべきであり、国が平成医療学園グループの施設認定請求を棄却したことは極めて妥当なものであるとして、国の立場を支持してきました。

 本日、東京地方裁判所が平成医療学園グループの主張を退け国の主張を正当なものとして判示したことは、私たちの切なる願いと合致するものであり、これを高く評価し支持します。

 私たちは、引き続き2020年(令和2年)2月25日に予定されている大阪地方裁判所における判決及び2020年(令和2年)4月27日に予定されている仙台地方裁判所における判決においても、本日の東京地裁判決と同様私たちの願いと合致する正当な判決が言い渡されることを切望するとともに、平成医療学園グループが本日の東京地裁判決を受け入れ、控訴しないことを強く要請します。

あん摩師等法19条を守る決起集会東京大会における「視覚障害者のあん摩マッサージ指圧師を通した社会参加と経済的自立を確保するためのアピール」について

視覚障害者のあん摩マッサージ指圧師を通した社会参加と経済的自立を確保するためのアピール


 わが国においては、視覚障害者にとっての職業選択の自由は実質的には未だ保障されているとは言えません。他方、わが国においては、伝統的に視覚障害者の多くが鍼灸マッサージを職業として社会参加し、経済的自立を図ってきました。ところが、戦後に至り、鍼灸マッサージを職業として選択する晴眼者が急増し、鍼灸マッサージ業、とりわけあん摩マッサージ指圧師(あマ指師)における視覚障害者の占有率が大きく後退し始めました。
そうした経緯をふまえ、1964(昭和39)年に「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(以下、これを「あん摩師等法」と略す)」が改正され、その19条1項に、「当分の間、・・・視覚障害者であるあん摩マツサージ指圧師の生計の維持が著しく困難とならないようにするため必要があると認めるときは、・・・視覚障害者以外の者を教育し、又は養成するものについての・・・認定又はその生徒の定員の増加についての・・・承認をしないことができる。」という規定が挿入されました。
これに対し、平成医療学園グループ(以下、これを「原告」という)は、国に対し、福島県、神奈川県、大阪府及び兵庫県にある養成施設及び大学に、晴眼者のためのあマ指師養成課程の設置を申請しましたが、厚生労働大臣及び文部科学大臣が医道審議会の審査をふまえて、原告のあマ指師養成課程認定申請を不認定としました。原告は、不認定処分は法の下の平等を定めた憲法14条や職業選択の自由を定めた憲法22条等に違反するとして、前記の不認定処分の取り消しを求め、仙台地裁、東京地裁及び大阪地裁に訴訟を提起しました。
原告は、訴訟の中で、自らの営業の自由や晴眼者のための職業選択の自由があん摩師等法19条によって不当に制限されていると主張し、他方ではわが国の社会福祉は充実し年金等も支給されているので、もはやあん摩師等法19条は不必要である等と主張しています。しかし、今日においても、視覚障害者にとって年金等の社会保障給付だけでは健康で文化的な生活を維持することは困難であり、今なお視覚障害者の多くはあマ指業を通して経済的に自立し、自己実現を果たしているのです。これ以上晴眼あマ指師が急激に増加すれば、視覚障害あマ指師はこの業界からも締め出されることは火を見るより明らかです。原告の訴えが認められ、あん摩師等法19条が廃止ないし緩和されるようなことがあれば、今なおわが国における視覚障害者の職業的自立の中心となっているあマ指師からも視覚障害者が締め出される結果となることは必定です。それゆえ、今日においても、あん摩師等法19条は、視覚障害あマ指師にとって必要不可欠な規定であり、憲法22条が保障する営業の自由を含む職業選択の自由は公共の福祉という社会的相当性による制限を前提としているのですから、同規定が憲法第22条に違反するなどということは絶対にないのです。
私たちは、視覚障害者にとって適職であり、職業的意欲と生きがいを持って従事しているあマ指業を視覚障害者の手から取り上げられないためにも、あん摩師等法19条を死守するとともに、原告の訴えがいかに利己的で視覚障害あマ指師の就業実態を無視した理不尽なものであるかを明らかにし、裁判所に、原告の訴えを速やかに棄却することを強く求めるものです。
   平成30(2018)年11月11日
   あん摩師等法19条を守る決起集会東京大会

あはき裁判決起集会(終了しました)

「あはき法19条裁判決起集会(あん摩師等法19条を守る決起集会東京大会)」への参加について(お願い)

 

 平成28年から仙台・東京・大阪で闘われている「あはき法19条裁判」の地裁審理も、東京地裁での口頭弁論が10回を越え、いよいよ大詰めを迎えております。早ければ、来年中には結審し、判決が出される可能性も出てまいりました。

 このため、日盲連をはじめとする「あん摩師等法19条連絡会」では、「あん摩師等法19条を守る決起集会東京大会」を11月11日(日)、東京において開催することといたしました。

この集会は、視覚障害者の職業があはき業に依存している現状に鑑み、我々の主張の正当性を社会的に大きくアピールをしていこうとするものであります。そのためにもより多くの方の参加が必要となっております。

 裁判勝利のため、ぜひとも本集会へのご参加をお願い申し上げます。

 ご参加いただける場合には、10月26日(金)までに事務局へご連絡願います。

なお、大変申し訳ありませんが、適切な待ち合わせ場所が無いため当日は現地集合でお願い申し上げます。また、交通費に対する協会補助はありませんので、ご承知おき願います。

 

1.開催日時:平成30年11月11日(日)1400分~1530

2.開催場所:CIRQ(シルク)新宿(新宿区新宿3-33-1、IDC OTSUKA(大塚家具)新宿ショールーム8階)

3.交通:JR線新宿駅東南口徒歩2分

     東京メトロ副都心線新宿3丁目駅 E9出口 すぐ

     東京メトロ丸ノ内線新宿3丁目駅 A5出口 徒歩1分

     都営新宿線新宿3丁目駅 C4出口 徒歩2分

4.連絡先:茨城県視覚障害者協会事務局(担当:石橋、古川、矢口)

電 話 029-221-0098

FAX 029-221-0234

      メール ibacenter@work.nifty.jp